お盆の黒猫
1年前、道路で倒れていた猫を拾った。
拾った通りの辺りが9番地だったので、9(ナイン)君と呼んでいる。
1年前のお盆の頃、「ADDRESS NO.9(アドレスナンバーナイン)」という名前のイタリアンへ行く途中、熱いアスファルトの上で、痙攣を起こしていた仔猫。
このまま路上でくたばるか、そもそも、さらに暗くなれば車に轢かれてしまうだろうし、ましてや、お盆の夕方である。
それじゃあ、私の寝覚めがよくない。
知り合いの保健所職員に来ていただき、まずは保健所で保護していただいた。
翌日、仕事だった私は、職場から保健所に電話した。
痙攣はおさまり、まだ息がある、と聞かされた。
検査や点滴、必要に応じて投薬をするため、私は、飼い主としての名義と経費を申し出た(野良猫のままだと、動物病院への受診がスムーズでないらしい)。
動物病院で、検査を受け、通院治療が始まった。
犬や猫の譲渡会に力を入れている方に連絡を入れ、礼金を渡し、ゲージや食料を買っていただく。
保健所に居られる期間も限られているし、新しい飼い主が見つかるまで、その方の自宅で、保護していただくことになった。
現在に至るまで、いわば、“別居扶養”状態。
夏の夕方、熱いアスファルトで、痙攣を起こしていた仔猫。
拾ってから1年が経った。ナイン君は元気に生きている。
はじめは、看とるつもりで、引き取ったのだが(それくらい瀕死の状態だった)。
現在、すっかり体力が回復し、去勢手術も無事に終わり、譲渡会から、きちんとした飼い主のもとへ。
てなわけで。
一言で云えば、成り行き。
そして、傍観者にはなれなかった。
なお、傍観者ってのは、“見ないふりをして”、事が終わった後に、理解(わ)かったようなことを言う。そうはなりたくなかったわけで。
同情もしなかったが、薄情にもなりたくなかった。私のエゴと云えるし、偽善とも云えるかもしれないが・・・。
エゴと成り行きと何かの縁。
抗うことができない流れの中で(ちょっと大袈裟か)、遭遇(ふ)りかかってきた、黒の拾い猫。
今は、新しい飼い主のもとで、“銀次郎”という名前を付けてもらったらしい。
もう、会うことはないだろう、9(ナイン)君、あらため、銀次郎君、元気でな。
監督 池谷 龍一
▼▼▼令和元年9月21日(土)開催▼▼▼
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